木目金を知る



<第22回> 木目金鐔(つば)の形状種類

  2019年8月9日

木目金の技術は刀の鐔を作る技術から誕生しました。
刀が武器として用いられていた時代から、平和な江戸の世になるにつれ、刀装具は武士の身分や個性を表現する装身具としての意味合いが強くなりました。そのため装飾性の高い鐔が作られるようになり、複雑な模様を生み出す木目金が用いられるようになったのです。
鐔の形も持ち主の好みに合わせて様々に作られました。いにしえの人々は、単なるデザインとして形を選ぶのではなく、その形により縁起をかついだり願いを込めました。木目金の鐔のご紹介とともにその形の意味をご紹介します。
 
◆丸形
鐔の形として最も多く用いられた形です。「丸」は「完全」を意味し、また「角が無い」など良い意味で万人に好まれる形です。

 
◆木瓜形(もっこうがた)
ウリ科の植物「木瓜」の切り口に似ていることでこう呼ばれます。「木瓜」は多くの実がなることや、鳥の巣の形にも似ているため、「子孫繁栄」を祈る意味で古来より好まれてきた形です。四つ木瓜、五つ木瓜、八つ木瓜等の種類があります。

 
◆障泥形(あおりがた)
「障泥」とは馬具の一部で、泥よけとして馬の胴にかぶせる革具のことをいい、武士にとって身近な形であったため鐔の形状にも用いられました。上部の横幅より下部がいくぶん幅広に作られた安定した形です。

 
◆軍配形(ぐんばいがた)
軍配は古くから悪鬼を払い霊威を呼び寄せるという意味合いで神事などにも用いられてきました。また勝利をつかみ軍配があがるよう良い方向に指揮するために采配を振るように、物事を進めるうえで良い方向への指針を示すという縁起の良い形です。

 
◆菊花形
江戸時代より9月9日を「重陽の節句」、別名「菊の節句」と呼び、菊酒をあおり長寿を祈るなど、日本人にとって縁起が良くなじみ深い花の形です。

 
◆八角形
古代日本において八は「聖数」とされ大変縁起の良い数とされてきました。また全ての方位「八卦(はっけ)」を示しバランスが良く安定した形です。

 
この他にも様々な形の鐔がありますが、そのいずれもが縁起の良い意味を持ち、いにしえ人が大切に身につけていたことが想像できます。
杢目金屋では、そのようないにしえ人の願いを受け継ぎ、江戸時代当時も人気があったと伝えられる「四つ木瓜形」をモチーフとした「鐔ジュエリー」を制作しています。



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