木目金を知る <第5回>

  2017年5月30日

江戸時代後期には刀装の職人が矢立や煙管など、町人たちの日用品の制作にも携わるようになり、木目金も当時の江戸においてデザインに広く取り入れられています。また、明治にかけて、海外向けの輸出品やお土産の品として木目金が使われた工芸品が量産されるようになりました。今回は収蔵品の中からその一部をご紹介。特に皆様おなじみの刀の鐔以外の木目金、グリ彫りの名品をご覧ください。

1.屈輪香合(ついしゅこうごう)
明 中国 漆
H37.7×φ70.2mm
屈輪(ぐり)彫りの中でも端正な表情をもつ名品。
※香合とはお香を収納する容器のこと。茶事に使用する。

 

2.錬金小薬鑵(れんきんしょうやかん)
江戸時代後期 赤銅 素銅
H60×W70mm
小ぶりのかわいらしい薬缶。
ふたの取っ手以外は全て木目金でつくられています。

 

3.矢立(やたて)
江戸時代後期 赤銅 素銅
L210mm
矢立とは、携帯用の筆記用具のことです。墨壺がついているため出先で筆が使えました。
全面に木目金が施されており、形状としては一般的なものですが、素材が木目金になるだけで自然な風合いを感じさせます。

 

 

4.とんこつと根付
江戸時代後期 漆
とんこつ:H87.5×W76.5
根付:H25.1×43mm
大変珍しい屈輪彫りのとんこつ。とんこつとは煙草入れのことですが、その語源は不明とされています。

 

5.とんこつと煙管(きせる)入れ
江戸時代後期~明治初期
とんこつ:H73×W84.3mm
煙管入れ:L220mm
伎楽面を描いた極めて珍しい漆の作品。
屈輪彫りのデザインを昇華して作られた妙品。当時の旦那衆である趣味人がこだわってつくらせた特注品と思われます。

 

 

 

 

6.寄金細工の煙管
江戸時代中後期  金、銀、赤銅、四分一、素銅
上:L270mm 下:L230mm
木目金、象嵌、切り嵌め、彫りの技術を駆使して寄木細工状に作られた「寄金細工」の煙管二種。色合い、文様の組み合わせがモダンで、華やかな優雅さを漂わせています。

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